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1.IOTって何?


今年7月、「日本のソフトバンク社がイギリスのARM社を3.3兆円で買収」というニュースが世界中を驚かせました。その報道の中で「・・・これから普及するIoTを見据えて・・・」というような使われ方がされ、初めて「IoT」という言葉を目にされた方も多いのではないかと思います。今号ではこの「IoT」について整理してみます。

1.「IoT」って何?

 IoT(アイオーティー)は、「Internet of Things」の略なので、[o]だけが小文字です。メールなどに使う顔文字にも見えてしまいますが、これは「モノのインターネット」とも言われ、最近話題になっている言葉のひとつです。もう少し詳しく説明すると、コンピュータやスマホだけでなく世の中に存在する様々なモノ(物)に通信機能を持たせ、インターネットに接続したり相互に通信したりすることにより自動認識や自動制御・遠隔操作などを行うことを意味します。これに近い概念としては、家電業界に「スマート家電」という言葉があります。スマートという言葉には、細いとか痩せているとかだけでなく「賢い」「利口な」という意味があります。スマート家電の例としては、出先からスマホでエアコンの電源のオン・オフをしたり、冷蔵庫の中身を確認したりというような機能をもった製品などがあります。これらはまさにIoTを具現化したものの一つと言えます。
IoTは家電業界に限ったものではありません。例えば工場の生産ラインがインターネットにつながったり、物流においてはトラックがインターネットにつながったりということが今後は起こりうるのです。IoTにおける「モノ」には一切制限がなく、「ありとあらゆるモノ」を指します。机やイスなど、一見するとインターネットにつながる意味がなさそうなモノであっても、もしかしたらインターネットにつながることで何か意味を持つ時代が来るのかもしれません。

2.「IoT」は普及するのか?

 IoTとは、「ありとあらゆるモノがインターネットに接続する世界」と言い換えることもできます(上図参照)が、接続するためには当然そのための機器(半導体などで構成されるチップ)が必要になります。その分野で、現在世界有数の技術と実績を持っている会社が冒頭ご紹介したARM社で、ソフトバンクグループが今後IoT分野に力を入れていこうという強い意志がうかがえます。実際、ソフトバンクグループの孫正義社長は7月21日に行われたSoft Bank World 2016の基調講演で「これから20年以内に1兆個のチップを地球上にばらまくことになる。」と述べています。

【ARM社のCPU見本】

  
 とは言え、何でもかんでもインターネットにつなげばいいというものでもありません。「モノ」とインターネットをつなげるためには当然コストが発生します。そのコスト以上の価値を利用者が感じなければ普及する訳がないのです。その意味では、残念ながら現在製品化されているスマート家電などのIoT関連の製品は、現状のままでの拡販は難しいものが多い様に思います。個人的にはスーパーでの買物時に自宅の冷蔵庫の中身を見るために高価な冷蔵庫を買おうとは思わないのです。(あくまで私個人の意見です。そもそも私はスマホを持っていない。(>_<))
 それではIoTは不要なものかと言えば、その結論を出すのはまだまだ先でしょう。これから様々な場面で様々な製品・サービスが提供されてきます。その中には社会を変えてしまうほどの影響力を持ったものが出てくるかもしれません。

3.「IoT」普及のポイント

 今後のIoTの動向についてヒントになる事例をひとつ紹介します。スマートドア(またはスマートロック)です。Webの検索ページで「スマートドア」や「スマートロック」を探してみると、色々な製品が出てきます。仕様の詳細はそれぞれ違うのですがだいたい共通していることは、「鍵がなくてもスマホがあればロックしたドアを開けることができる。」というようなものです。スマホに専用アプリをインストールしておけば、アプリ操作でロックしたドアを開けることができたり、機種によっては近づくだけでロックが解除できたりするものもあるようです。もちろん、これだけでもメリットはあるわけですが、外出する際に鍵を不要にするためだけにドア(またはロック)を買い替えるという需要はそれほど大きなものではありません。単に「鍵をなくす」だけでなく、インターネットにつながっていることに価値を見出すような試みが重要になると思います。

 そのひとつが老人介護ビジネスでの場面です。以下、小泉耕二氏『図解IoTビジネス入門(あさ出版)』より引用します。「・・・老人介護の問題は、高齢化社会における大きな社会問題で、老人が徘徊していないか、外出後ちゃんと帰宅しているか、などを知ることは、特に家族にとって重要な関心事です。実際、老人が家の外で思わぬケガをして助けも呼べず、うずくまっているといったケースも多いのです。そこで、このスマートロックを利用すると、老人の外出状況や、何日間も家の中に居続けている、といった状況を知ることが可能となります。見守り隊などのヘルパーは、老人世帯につけられたスマートロックの動作状況を見ることでその世帯の状況をある程度把握できるのです。この例では、ヘルパー不足を補い、思わぬケガをして動けなくなっている老人の様子もなるべく早く発見できるという、新たな価値が生まれています。・・・」


 このような利用方法は製品化当初に技術者が想定したものではなく、老人介護の現場でアイデアが生まれたように思えます。「モノ」をインターネットにつなげることは専門の技術者にしかできませんが、それをどうやって利用するかは、利用者である皆さん方なのです。「アイデアは現場にある」のです。IoTをうまく利用できるかどうかは有効なアイデアがどれだけ生まれてくるかにかかっていると思います。

 現在ビーフラットが利用している開発ツール「MAGIC Xpa」はスマホで動作するバージョンもあります。面白そうなアイデアがあれば、ぜひご相談ください。一緒にチャレンジしてみましょう。

<熊澤 鉄郎>


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