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2008年02月04日

ディック・フランシス「祝宴」(早川書房)

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ディック・フランシスの推理小説をまだ読んだことのない人は
大変幸せである。
なぜなら、今から全41巻になる珠玉の競馬シリーズを
心から堪能できるからである。

「祝宴」は昨年末に日本語訳が出版された。
41冊目の競馬シリーズである。
期待に違わぬ手堅い内容で、楽しめた。
フランシスの小説はあまり沢山人が死ぬことはないが
今回は、食中毒事件に続く競馬場での爆破テロによって
大勢が亡くなるところから始まる。
主人公の人気レストランののシェフ、マックス・モアトンが
自らの汚名をすすぐために、様々な困難を乗り越えて
めでたしめでたしとなる。
シリーズ物といっても、全体のつながりは数冊を除いてないので
この話から読み始めても全く問題はない。
ディック・フランシスの略歴、作品の概要については
様々なサイトで公開されているので
検索して見て下さい。

このシリーズはミステリーのジャンルの中では
冒険小説に分類されると思う。
イギリスの冒険小説と言えば、
アリステアマクリーン、ジャック・ヒギンズが代表的だが、
その流れに属する。
競馬シリーズと言っても、直接競馬について書いたものではなく、
物語のどこかに競馬に関する事がかなり大きくだったり
ほんの少しだったり扱われている為に
このシリーズ名となった。
ただ、この競馬に関することが物語の中で
大いなる隠し味となっていることは確かである。
41冊中どれがベストとは言いにくいが
あまり駄作のない作家で、
シリーズが書き続けられても高い水準を維持している。

第一作目は1962年「本命」。
それからほぼ毎年1冊、2000年「勝利」まで出版されてきたが
2000年に出版のパートナーである妻が亡くなって
一度引退した。
しかし、2006年に6年ぶりに今度は息子さんをパートナーにして
シリーズを再開した。(2006年「再起」)
「祝宴」は復帰2作目である。

私は多分1980年頃から、つまり19作目「反射」の頃から
同時代的にこのシリーズを読み始め、
毎年暮れの出版を楽しみに過ごしてきた。
この正月も「祝宴」を読んで
幸せな気分に浸ったのであった。
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