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2008年02月05日

「楽」(名古屋・錦) とりの味噌鍋

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名古屋名物といえば昔から鳥(名古屋コーチン)料理
ということになっているが、
他地方からお客様が来られた時に
自信を持ってご案内できる良い店はなかなかない。

先週金曜日に訪問した「楽(らく)」は名古屋の鳥料理の
名店中の名店である。
名古屋コーチンのおいしさを心から堪能できる。
楽にはお品書きはない。
鳥の味噌鍋のコース(突き出し、名古屋コーチンの霜降り、鍋、デザート)
のみの営業である。

楽は昭和40年代に先代の女将(初代)が、
ご主人が亡くなって息子さん(今の女将の兄)が
店(名料亭「香楽」・主税町)を継いだ時、
隠居所として独立して創ったのが始まりという。
鳥の味噌鍋はもっとも香楽の名物料理だそうだ。

私が初めて楽で食事をしたのは
昭和52年、大学を卒業してサラリーマンになってまもなく
上司に連れて来てもらった時である。
名古屋生まれの名古屋育ちと言っても
名古屋コーチンなど口に入る訳もなく、
初めての体験であった。

名古屋の家庭では昔は大晦日は鳥のひきずり(好き焼き)と
相場が決まっていて、私の子供の頃は
家でもよく食べたものです。
(味付けは醤油と砂糖)
だんだん世の中が豊かになてきて
いつのまにか鳥が牛肉になったようですが。
しかし、楽の鳥鍋は好き焼きではない。
鶏肉を鳥のスープの中に秘伝の味噌だれをといた
いわば味噌スープの中で軽く煮ていただく。
八丁味噌をお砂糖やその他秘伝の?を混ぜて作ったお味噌が
鶏肉やねぎと大変相性が良く、
ほんのりとした甘さに八丁味噌の味と香りが絡んで
美味しい名古屋コーチンがさらに絶品の味となる。
この味噌だれを直接生ねぎにつけていただくと
最高のつまみになる。

コーチンを味噌でいただくのはこの店の専売特許で
以前はこの店だけのものであった。
最近はまねをして出す店もある様だが
この店の秘伝の味には達していないという。

楽で驚いたのは鳥料理の美味しさもさることながら
先代の女将さんの話す名古屋弁が
あまりに上品で、感動した。
東京で学生時代を送って、隠れ名古屋で
名古屋弁に引け目を感じていたが、
名古屋弁が京都弁に匹敵する上品さだと実感して感動したのである。
私の母より少し年上であったが
お若い頃はさぞ美人だったと思わせる品の良い方であった。
その女将が作ってくれる鍋は更に美味しいものになる。
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お店は昔、待合いだったところを買ったのだそうで、
錦の真ん中にあって閑静で上等なつくりのお座敷で
ゆったりと料理を楽しめる。

鍋のことを言っておかなければならない。
戦前香楽は住吉町にあった。
空襲の時にこの鍋を地中に埋めて逃げたのだそうだ。
鉄の鋳物だと思われるが、分厚くて大変重いものだ。
さすが老舗は道具が違う。
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味噌の調合は板長さんも知らない。
先代の女将から今の女将のみに伝えられた。
従業員が皆帰った後、こっそりと作るという。
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さて料理であるが、突き出しは別として
初めに霜降りが出る。
鶏のささ身をさっと湯を通して表面だけ白くしたもの、
勿論中は生である。
これを生姜醤油をつけていただく。
柔らかい中に噛みごたえがあり、噛むと何とも言えないコクを感じる。
さしみでも臭みなどは全くなく、
味わいのある一品である。
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次はとり鍋である。
鍋をガスコンロにかけ、温まったらとりの脂身で油を塗る。
そこへ鳥のスープを入れ、秘伝の味噌を適量入れる。
そして鶏肉やねぎなどを入れ、火が通った物から順にいただく。
火を通しすぎない方が良い。
鶏肉がほかほかでジューシー。
噛めば肉汁が出る。
八丁味噌の渋みと砂糖の甘さが名古屋コーチンのコクを一段と引き立てる。
最高の美味しさである。
ネギも美味しい。
お肉やネギを食べ終わった後にきしめんを入れる。
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きしめんがしっかりだしの出た味噌のスープに絡まって
絶妙の味となる。
それをたきたてのごはんの上にのせていただく。
ご飯に味噌が絡まってこれがまたうまい。
最後にデザートで苺が出た。

名古屋人でまだ行った事のない方、名古屋の鳥料理に関心のある方は
ぜひ一度は味わうべき名品、名店であると思う。
尚、本家筋に当たる香楽でもほぼ同じものがいただけるとのことだが
私はまだ行ったことはありません。

この店、ネットで検索してもどこにも出てこないので
知る人ぞ知る名店なのでしょうか。
冬場は予約が取りにくい店なので
敢えてブログで紹介しない方が良いのかもしれません。
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楽 (らく)  <鳥料理店>
TEL:052-951-1125
名古屋市中区錦3-9-29

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comments

佐藤様
ご無沙汰しております。
おいしそうなブログ、発見です。

小生、尿酸値が8になり、ビール禁止令が出て、焼酎、スコッチで代替しております。
メタボも少しは改善したい。
紅顔(厚顔)の青年だった私も、すっかり中年になりました。今年本厄です。

お仕事お忙しいとは存じますが、ご自愛くださいませ。

  • Ichiro
  • 2008年02月08日 07:38

このブログ何も反応がないので張り合いがないなと思っていました。読者がいて安心しました。これからもよいものがあったら紹介します。

  • 佐藤
  • 2008年02月12日 12:31

ブログの内容と直接関係ないので
ボツにしていただきたいのですが
グリーンエコーの奮闘録?のようなものを
期待しております。
佐藤社長は学生時代、混声だったのですね。
できる人間は何事にも秀でているものなのですね。

  • Ichiro
  • 2008年02月18日 17:14
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